破壊的イノベーションは、アメリカの経済学者でハーバード・ビジネス・スクール教授クレイトン・クリステンセンが提唱したものです。クリステンセンは、アメリカのユタ州ソルトレイク・シティの生まれで、1977年にオックスフォード大学を卒業し、1979年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得しています。大学在学中に宣教師として韓国に滞在した経験を持ち、韓国語が非常に堪能だといいます。さらに、同ビジネス・スクールの教授には1992年に就任しています。
クリステンセンがアカデミズム一本槍の研究者と一線を画すのは、起業家としての横顔を持つ点です。1979年から1984年まで、コンサルティングの世界大手ボストン・コンサルティング・グループに勤務し、その後1984年にマサチューセッツ工科大学の教授らとともに先端素材製造会社CPSコーポレーションを設立しています。これがクリステンセンの起業家としてのスタートになりました。さらに2000年にはコンサルティング会社イノサイト、2005年には投資会社イノサイト・キャピタルと、現在までに3つの会社を成功裏に立ち上げています。
この間、今回のテーマである破壊的イノベーションに関する著作を世に問います。最初に注目を集めたのが『イノベーションのジレンマ』(1997年、翔泳社)で、今回紹介する破壊的イノベーションに関して言及したものです。さらに2003年にはその続編とも言える『イノベーションへの解』(翔泳社)、2004年には『明日は誰のものか』(ランダムハウス講談社)を立て続けに出版します。いまや、イノベーションと言えば、クリステンセンの名が上がるほどです。
クリステンセンが説く破壊的イノベーションとは、一言でいうと、「破壊的技術」によるイノベーションを指します。したがって、破壊的イノベーションを理解するには、順序として、まず破壊的技術とは何かを理解すべきです。