3.破壊的技術には大きく2つの特徴がある

 破壊的技術を用いた製品には、いくつかの特徴があります。第一に、破壊的技術は、短期的に製品の性能を引き下げるという点です。注意したいのは、引き上げるのではなく、引き下げるという点です。先のデジタルカメラを通して、この点を考えてみましょう。

 デジタルカメラは1990年代の初め頃から市場に登場します。当初は、パソコン利用者の周辺装置として販売されました。この製品には、プリントせずに画像を見られる点や、失敗を気にせず写真をとれるという点が、従来型製品と大きく異なっていました。しかし、従来のカメラに比べると、画質が圧倒的に劣るという致命的な欠陥がありました。この点においてデジタルカメラは、銀塩フィルムを用いたカメラに比較して、製品の性能を引き下げるという、破壊的技術が持つべき特徴を有していたと言えます。

 破壊的技術にはもう一つ特徴があります。破壊的技術を利用した製品は、構造がシンプルで使い勝手がよく、しかも価格が安いという点がそれです。先にもふれたように、デジタルカメラの場合、プリントに出さずに画像が見られますし、失敗を気にせずに写真を撮れます。まさに利用者(特にカメラの下手な人)にとっては使い勝手のよい製品です。

 また、価格面で見ると、従来のカメラの場合、撮影するたびにフィルム代が必要になります。これは、写真を撮るほど、トータル費用がかさむことを意味します。一方、デジタルカメラが市場に登場した当時、画像品質の割に、価格はかなり高価でした。しかしながら、フィルム代の必要もなく、撮った写真は次々とパソコンのハードディスクに貯められます。つまり、長期的に見ると、どれだけたくさん写真を撮っても、費用はイニシャル・コストの範囲にとどまるわけです。一見高価に見えるデジタルカメラも、トータルで見ると相対的に廉価なわけです。この点でもデジタルカメラは、破壊的技術の特徴を備えていたと言えます。

123-3_textmediumright_textmedium

© Akira Nakano pcatwork.com 1999~2009