1. マーケティング・ミックスとは何のことか?
前回は、マーケティングの基本手順として、コトラーが提唱する「R→STP→MM→I→C」という5つのステップを掲げました。すなわち、①調査(Research)、②セグメンテーション(Segmentation)/ターゲティング(Targeting)/ポジショニング(Positioning)、③マーケティング・ミックス(Marketing Mix)、④実施(Implementation)、⑤管理(Control)がそれです。今回は、この手順の第③ステップにあたる「マーケティング・ミックス」について解説したいと思います。
コトラーの言葉を借りると、マーケティング・ミックスとは「企業が標的市場でマーケティング目的を達成するために用いるマーケティング・ツールの組み合わせのこと」(「コトラーのマーケティング・マネジメント ミレニアム版」2001年、ピアソン・エデュケーション)を言います。とはいえ、少々わかりにくい定義なので、もう少々かみ砕いて解説しましょう。
マーケティングの基本手順では、まず調査を実施し、次にSTPを明らかにしました。すなわちSTPでは、まず市場全体を共通の特徴を持つ幾つかのグループにとりまとめます。これがセグメンテーションでした。次に、明らかになったセグメントの中から、自社にとって魅力度の高いセグメントを選択します。魅力度が高いとは、潜在的な需要が大きなセグメントであるとか、自社が持っている能力を充分に発揮できるセグメントなどのことです。こうしたセグメント明確化の作業がターゲティングです。さらに、ターゲットが決まったら、ここにどのような製品やサービスを位置づけるかを考えます。極端に言うと、例えば高級路線でいくのか低価格路線でいくのか、といった方針の明確化です。これが最後のポジショニングでした。
以上の作業を終えることで、標的とする市場、そしていかなる製品やサービスでその市場を攻略するのか、そのラフ・スケッチが明らかになります。これらはいわばマーケティングの「戦略」に相当するでしょう。この戦略を具体化していくには、マーケティングの「戦術」が不可欠になります。この戦術こそが、上記のマーケティング・ミックスの定義で見た「マーケティング・ツール」のことです。言い換えると、「標的市場を具体的に攻略するための戦術の組み合わせ」、これがマーケティング・ミックスというわけです。


