5. リスクも念頭にいずれかの戦略を選ぶ

 もっとも、3つの基本戦略のいずれもが、メリットずくめのわけではありません。いずれかの戦略を選択するということは、同時にリスクを取る行為でもあります。したがって、それぞれの戦略選択に伴うリスクを、あらかじめ理解しておくことも大切です(図表2)。
 まず、コストのリーダーシップ戦略では、この立場を維持するのに、最新設備に投資するなど、大きな負担に耐え続けなければなりません。また、テクノロジーの変化により、規模の経済や経験曲線効果が水泡と帰すこともあるでしょう。
 この他にも、他企業がさらなる低コストを実現することも考えられます。加えて、コスト削減ばかりに目がいって、マーケティングがおろそかになるのもこの戦略のリスクの一つと言えるでしょう。
 一方、差別化戦略のリスクとしては、低コスト企業とコストの差があまりに広がる危険性です。これでは、メリットが帳消しになります。また、差別化要因が飽きられて、ニーズがなくなったり、模倣が盛んになったりするのも、差別化戦略のリスクとして押さえておくべきです。
 集中戦略では特定のセグメントに絞り込むため、業界全体を対象とするよりも市場規模が小さくなります。充分な収益の得られるセグメントを発見することが欠かせません。また、業界全体を対象とする企業と、コストの差が大きく開く懸念があります。また、戦略的に絞り込んだターゲットと全体市場のニーズが同じになることや、競合企業によるさらなるセグメント化などのリスクも考慮しておく必要があります。


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© Akira Nakano pcatwork.com 1999~2009