①予期せぬことの生起

 イノベーションの7つの機会、その1番目は、「予期せぬことの生起」です。ドラッカーは、「予期せぬこと」として、①予期せぬ成功、②予期せぬ失敗、③予期せぬ外部の変化、の3つを掲げています。中でも「予期せぬ成功」には、イノベーションの大きな機会が潜んでいます。

 人は長く続いてきたものが正しいと思いがちです。結果、何か予期せぬ成功が起こっても、通常は無視されます。あるいは、気づくことさえありません。

 たとえば、新人の営業マンが、従来はターゲットと考えていなかった業種の顧客に飛び込みセールスし、予想外の成果を上げたとしましょう。これなどは、予期せぬ成功の典型です。ところがこういう予期せぬ成功は、通常は、まぐれ当たりとしてかたづけられてしまうものです。

 しかしながら、こうした予期せぬ成功は、自らが定義している事業や市場、顧客に何らかの変化が現れたとも考えられます。この考えに従うと、予期せぬ成功をさらに追求していけば、市場や顧客の変化に対応したイノベーションが可能になるかもしれません。

 予期せぬ成功は、成功をもたらす可能性が高いという点で、リスクが小さい機会です。体系的に探索する仕組みを、組織の中に組み込んでおきたいものです。

 また、「予期せぬ失敗」についても目配りが欠かせません。従来うまくいっていたのに、予期せぬ失敗が起こることは、やはり環境が変化してきている兆候かもしれません。

 これに加えて、「予期せぬ外部の変化」にも要注意です。これは、自社にとって当面成功も失敗ももたらさない外部の変化を意味します。こうした変化をいち早く認識し、自分自身や組織にとって有効な何らかの手を打つことで、イノベーションを実現できる可能性が高くなります。

 いずれにしろ、予期せぬことの生起を敏感に察知することは、イノベーション実現の最短距離と理解すべきです(図表2)。

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© Akira Nakano pcatwork.com 1999~2009