4. ターゲット・マーケティングの要となるSTP

 かつてモノを作れば売れる時代がありました。こういう時代には、市場全体を対象に製品やサービスを提供する手法がとられたものです。

 しかし、すでに言い古されたように、顧客の嗜好が多様化する中、市場全体を対象に製品やサービスを開発するのは、極めて困難になってきました。その代替として登場したのが「ターゲット・マーケティング」です。ちなみにそれ以前のマーケティングを「マス・マーケティング」と呼びます。

 ターゲット・マーケティングでは、まず市場の中から共通のニーズを持つグループを明らかにします。このように市場をいくつかの大きなグループに区分けすることを「セグメンテーション」と呼びます。

 そして、明らかになった幾種類かのセグメント(グループ)について、そのボリュームや自社の強みなどを検討します。その上で、自社にとって特に有利なセグメントを選び出します。このように、自社の強みを十分発揮でき、彼らを満足させられるであろうセグメントを明確にする作業を「ターゲティング」と呼びます。

 続いて、この絞り込んだターゲットに対して、「顧客にぴったりと合う」ような製品やサービスの位置付けを検討します。これが「ポジショニング」です。これは、競合よりも自社の価値を高く評価してもらうための位置付け作業とでも言い換えられるでしょう(図表3)。

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 例えば、セグメンテーションおよびターゲティングにより、ブランド好きで好みのモノには出費を惜しまない団塊の世代をターゲットに設定したと仮定しましょう。その企業が高品質なモノ作りの強みがあったとしたならば、提供する製品は、品質的にかなり高いもので、値段的にも高価ながら納得のいく価格帯に位置付けることが考えられるでしょう。また、ブランドイメージも、「品質は極めて高いが、価格は合理的」などのポジショニング戦略が不可欠になるはずです。

 ちなみに、ポジショニングの検討では「1番手の法則」と呼ばれるものに配慮すべきです。これは、マーケティング戦略家のアル・ライズとジャック・トラウトが提唱したもので、そのカテゴリーでトップになることが、ポジショニング戦略で最も重要だという考え方です。というのも、顧客はトップの名前はよく覚えていますが、2番手の名前はあまり覚えていないからです。

 このような観点に立つと、再びSTPのセグメンテーションおよびターゲティングが問題となってきます。そもそも、特定したターゲットに自社の製品やサービスを提供して、果たしてトップに立てるかという疑問です。仮にトップに立つことが困難ならば、再度別の角度から市場をセグメントし、その中から自社がトップに立てるターゲットを模索すべきだということになります。

 間違ったターゲットに不適切な製品やサービスを提供しても、ヒットする可能性はほとんどありません。したがって、マーケティング活動において、この「セグメンテーション/ターゲティング/ポジショニング」は慎重に行うべきなのです。

 STPが明確になれば、次にマーケティングの具体的戦術である「マーケティング・ミックス」を検討することになります。とはいえ紙数もこのあたりで尽きてしまいました。マーケティング・ミックスの詳細については、引き続き次回に説明することにしましょう。


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© Akira Nakano pcatwork.com 1999~2009