1. 社会生態学者としてのドラッカー

 ピーター・フェルディナンド・ドラッカーがこの世を去ってから、もうすぐ2年になる。それにもかかわらず、過去の著作が装いを新たに出版されるなど、ドラッカー人気はいまだ衰えを知らないようだ。

 ドラッカーの何が人を惹きつけるのか。ここでは、約96年の生涯におけるドラッカーの思索と言葉に、その魅力を探りたい。キーワードは、「マネジメント」「自己実現」「未来社会」の3つだ。今回は、ドラッカーのマネジメント論についてふれることにする。

 ドラッカーは、さまざまな呼称をもつ人物だ。たとえば「知の巨人」「カリスマ・コンサルタント」「日本美術愛好家兼コレクター」などがそれだ。中でも「マネジメントを発明した男」「マネジメント・グル」「マネジメントの神様」などのように、「マネジメント」を冠した呼称は、その代表例だろう。

 一方、ドラッカーによる自分自身の定義は、世間がつけた呼び名とは大きく異なる。ドラッカーは自身を「社会生態学者」「観察者」「文筆家」と呼ぶ。つまり、生物学者が生物の生態を観察するように、社会の生態を観察し、省察して、誰もまだ気がついていないこと、言い換えるならば「過去と現在の断絶」に着目して「新しい現実」を発見する。そして、それを文章という形で世に知らしめる。実はこれが、ドラッカーが30歳に最初の本を出して以来とってきた、基本的な態度なのだ。


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© Akira Nakano pcatwork.com 1999~2009