2011年2月21日
PHP研究所 533円
【はじめにより】
藤田君は8年前に中堅商社に入社しました。
入社当時の藤田君といえば、決して仕事ができないわけではありませんでした。しかし、他の同期に比べて、抜きん出た存在だったわけではありません。
まぁ、平均そこそこ、といったところでしょうか。
それから約6年。気がつくと、30歳を前にして、地味ながら成果を上げ続ける藤田君が、社内でも評判になりだします。
その頃から同期も、藤田君の存在が気になり始めました。しかし、まだ彼よりオレのほうが能力は上、と考える同期が多かったようです。
ところが、先頃の人事異動で、藤田君が部長に大抜擢されるやいなや、一躍彼は注目の的になります。
藤田君の同期や先輩は、口をそろえてこうつぶやいたといいます。
なぜ藤田が部長なんだよ――。
さて、皆さんの先輩や同期、あるいは後輩に、こんな藤田君のような人物はいませんか? おそらく、思い当たる人物が、1人や2人はいるのではないでしょうか。
一般に、会社に入って6年もすると、成果を上げ続けると人と、そうでない人の差がはっきりしてきます。
そして次の3年間では、藤田君のように、華々しくキャリアアップする人物が現れることも、まれではなくなります。
では、どのようにすれば、彼のように成果を上げ続けられる人物になれるのでしょうか。
この問いに対して、マネジメントの神様ピーター・ドラッカーは次のように答えました。
成果をあげることは、一つの習慣である。すなわち習慣的な能力の集積である。そして習慣的な能力は、常に修得が可能である。 (経営者の条件)
これを読むと「えっ、本当?」と思う人もいるに違いありません。
しかし、ドラッカーの言葉に従うと、誰もが藤田君のように成果を上げられるようになります。なぜなら、習慣は修得が可能だからです。
ただし、ドラッカーの右の言葉には続きがあります。
(成果を上げることを習慣にするには)掛け算の九九を習ったときのように、練習による修得が必要である。(中略)習慣となるまで、いやになるほど反復して、修得しなければならない。習慣的な能力は、練習を重ねて修得しなければならない。 (経営者の条件)
つまり、成果をあげることを習慣にするには、たゆまぬ訓練が不可欠ということです。
本書では、ドラッカーが多様な著作の中で指摘した、成果を上げるための習慣を、七つに分類しました。そして、この七つの習慣を修得するためのコツを48種類ピックアップして紹介しています。
ここで解説する習慣は、やる気と根気があれば、本当に誰にでも身につけられるものばかりです。皆さんも、48のコツを通してこの七つの習慣をぜひ身につけてください。
習慣化の訓練は30代や40代からでもできるでしょう。しかし始めるのは早いに越したことはありません。
特に皆さんが20代のビジネスパーソンならば、ぜひ今すぐ訓練を始めてください。そして、キャリアの分かれ道とも言える30歳前後の時点で、名実ともに「成果を上げる人間」になっていることを目指すべしです。
なお、本書のあちこちには、ドラッカーが実際に語った名言をちりばめました。
それゆえ、ドラッカーの思想をテキパキと理解するための本としても活用してもらえると思います。
【目次】
第1章 仕事にやり甲斐を見出したい
第2章 もっと大きな達成感がほしい
第3章 もっとできる人になりたい
第4章 自由になる時間を増やしたい
第5章 月末のパニックとサヨナラしたい
第6章 リーダーの心得を知りたい
第7章 いつもキラリと輝いていたい