2010年8月25日
【はじめにより】
近年、ゲーム理論という言葉をよく耳にします。もちろんこれは、娯楽としてのゲームを理論化したものではありません。ゲーム理論とは、複数の主体がそれぞれの意思決定によって影響を受ける状況において、どのように意思決定し行動するのかについて理論化したものです。
たとえば商談は、複数の主体がそれぞれの意思決定によって影響を受ける状況に他なりません。一方は物品を高く売りつけようとしていかもしれませんし、他方は徹底的に値切って買おうとしているかもしれません。そして、売り手も買い手も、自分の行動は相手の意思決定によって影響を受けます。このように、極めて身近な商談のような事柄もゲームとしてとらえられるわけです。
そして、誰しもゲームに負けるよりも「勝ちたい」と願うに違いありません。
仮にゲーム理論がそうした勝ち方を示唆してくれるのなら、人生をよりよく生きる上で、そのエッセンスを理解しておくことに越したことはないでしょう。
このような背景から、今やゲーム理論はMBAでも必須科目になっているのが現状です。
本書は、もはや現代人の必須知識とも言えるゲーム理論を、Excelを通して学ぶというユニークな編集方針で作りました。
また、Excelを使うからといって、高度な計算処理を行う考えは全くありません。あくまでもゲーム理論の基本中の基本について解説するのが狙いです。
実際にExcelにデータを入力しながら考えることで、ゲーム理論の原理原則に関する理解はより深まるに違いありません。また、随所にExcelのTipsについても言及しましたから、Excelのスキルアップにも役立つことでしょう。
本書が読者の皆様のゲーム理論の学習にお役に立てれば、筆者にとっても大きな幸いです。
【目次】
第1章 ゼロサム・ゲームと利得表思考
第2章 確率を用いたゲーム戦略
第3章 非ゼロサム・ゲームとナッシュ均衡
第4章 囚人のジレンマ
第5章 チキンゲームと社会的ジレンマ