
2010年7月1日
秀和システム 1100円
【はじめにより】
「どうしてゲーム理論がこんなにもてはやされているのだろう?」──。
ゲーム理論に対して、こんな素朴な疑問を持ったことがあるという人が、ずいぶんいるのではないでしょうか。
ゲーム理論という名称からすると、遊戯としてのゲームに関する理論のようにも思えます。しかし、これは誤解というものです。
ゲーム理論とは、複数の主体が個々の意思決定によって影響を受ける状況の中で、その主体がどのように意思決定し、行動するのかについて理論化したものです。
一般的なビジネス環境を思い浮かべてみてください。例えば、あなたと取引先の担当者です。そしてあなたが担当者と、今回納品する製品について価格交渉をしているとしましょう。これは、「複数の主体が個々の意思決定によって影響を受ける状況」に他なりません。
こうした相互に影響を及ぼす環境下で、誰もが有利に行動したいと考えるのは当然のことでしょう。そして、そのヒントを私たちに与えてくれるのが、ゲーム理論に他なりません。いまゲーム理論がもてはやされる大きな理由のひとつは、この点にあると言っても間違いではないでしょう。
本書は、ゲーム理論という言葉を耳にしたことはあるものの、その中身についてはよく知らない、という人のために書いたものです。また、たんに文字を追うだけでなく、皆さんが自分で考えて理解が深められるよう、多数の練習問題を用意しました。
これらに「ゲーム感覚」でチャレンジしてみてください。そして、ゲーム理論の基本をざっくりと理解してもらえれば、本書の使命は達成されたことになります。
【目次】
第1章 ゲーム理論とゲームの木
第2章 利得表で戦略思考を鍛える
第3章 有利な手を「確率」で考える
第4章 ゲーム理論で解く社会的ジレンマ
第5章 ゲーム理論で戦略思考力を高める