1. そもそも腕木通信とは何か?

 腕木通信とは、いまから約200年前の1793年、フランス革命の真っ直中、クロード・シャップ(1763〜1805/下記写真)によって開発された通信手法です。以後、フランスでは、電信ネットワークに取って代わる約60年の間に、総延長5780キロメートルの腕木通信網を整備するに至ります。また、フランスのみならず、イギリス、プロイセン、ロシア、スペイン、ポルトガル、エジプト、アルジェリア、インド、南アメリカ、オーストラリア、アメリカと、世界各地で腕木通信網の整備が進められました。結果、その総距離は全世界で14,000キロメートル以上にも達するに至ります。

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 腕木通信で中心的な役割を担うのが、下の写真およびイラストに示した「腕木通信機」です。ご覧のように、建物の上に一本の柱が立っていて、その頂点に長さ4m〜4.6mの水平の腕木(これをレギュレータ<調整器>と呼ぶ)が一本、さらにそのレギュレータの両端に2m前後の腕木(これをインジケータ<指示器>と呼ぶ)が二本取り付けられています。そして、この三本の腕木は、それぞれの始点を中心に回転し、さまざまな信号を作れるようになっています。この腕木の信号に意味をもたせて通信を行ったのが腕木通信というわけです。いわば、機械式の手旗信号、とでも考えればよいでしょう。

 またイラストに示した建物の中身に注目してください。内部に腕木の形状を変更するための装置があり、通信手がこれを動かして腕木の形を変えます。この装置と上部の腕木の形が全く同じになっているのが分かると思います。つまり通信手は屋上の腕木を見ることなく、目的の形状を形成できたわけです。


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図2、図3:腕木通信機と内部構造示すイラスト(Les merveilles de la science)


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