2. 腕木通信の通信手法

 腕木通信装置を一台だけ設置したのではあまり意味がありません。例えばA地点から100km離れたB地点に信号を伝えたい場合、次のような方法をとりました。

 まず、A地点とB地点に腕木通信機を設置します。次に、A地点からB地点までの100kmの間に、だいたい10km間隔で同様の通信基地を整備します。そして、それぞれの通信基地に通信手が詰めます。これで準備が完了です。

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図4:腕木通信機の整備(各種資料を元に筆者作成)

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 では、通信の開始です。まず、A地点の通信手が腕木の形状を変化させます。この様子を隣の基地の通信手が望遠鏡で確認します。そして自分の基地の腕木も同じ形状に変えます。同様に、それを見たさらに隣の通信基地も腕木の形状を変えます。この作業が次の通信基地、そのまた次の通信基地と、いわばバケツリレー式に送信され、最終的にゴール地点まで信号が届きます。ちなみに現代のインターネットも、ルーターという装置を介してバケツリレー式にデータを送信しています。同様の手法がすでに腕木通信に取り入れられていたわけです。


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図5:信号送信方法(各種資料を元に筆者作成)

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© Akira Nakano pcatwork.com 1999~2016